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雷と電気回路の相似性

雷。それは、雷の自然現象として現れる物理的現象の意味と自然世界を人が解釈するための科学技術理論との間の関係を考えるに良い考察対象である。

雷の正体を示せば、それは水蒸気の『熱エネルギー』である。しかし、ベンジャミン・フランクリンは〈雷は電気である〉と言った。

筆者は雷の正体が何物かを、その物理現象の本質を示せば、丁度電気回路と相似な現象と見做せると解釈する。

雷と電気回路の相似性

雷の解釈を、その火花放電現象の、大きなエネルギーの放射から、その現象を空間に発生する大きな『電圧』で捉える点では、ベンジャミン・フランクリンが言う意味に共通している。ただ、現在の電気理論では『電圧』の物理的意味を『電荷』で解釈している。しかし自然世界には『電荷』などは存在しないと言う点で、解釈の基本が大きく異なる。筆者は『電圧』という概念が空間の『エネルギー』の偏りの分布による『エネルギーギャップ』を評価した科学技術概念であると捉えている。

その『エネルギーギャップ』という意味は、電気回路で言えば、電源電圧の負極側の電線付近の空間が正極側電線付近に対して、より高密度の『エネルギー』の分布の偏りの状態になっているという意味である。

さて、雷に対しては、決して『電荷』等の現象でないことは電気回路と同じく、空間に生じる『エネルギーギャップ』が空気絶縁の限界に達した時、その空間の『エネルギー』が発光放射に至る現象なのだ。その『エネルギー』は何処から来るかと言えば、海からの水蒸気が持ち込む『熱エネルギー』なのだ。地上の上空に張る寒気で、水蒸気の体積収縮が起き、上空に水蒸気の水分が上昇気流となって積乱雲を発生する。地上と積乱雲との間の空間に丁度電気回路の静電容量の空間が出来る。水蒸気の『熱エネルギー』が地上に残り、空間に『エネルギー』の貯蔵されたコンデンサ状の空間が発生した状況となる。『エネルギー』の貯蔵量が限界に達すれば、丁度高電圧の火花放電現象と同じ状況が起きる。それが『雷』の正体の物理現象である。それは丁度熱爆発現象と見做せる。雷と電荷の物理 (2021/06/22) でも述べた。

雷は海から蒸発した水蒸気の『熱エネルギー』の限界爆発現象である。

『熱』の正体 (2014/05/15) 。沸騰を読む―原子と寸法― (2014/05/21)。古い『熱』についての記事だ。

『熱』は光や電気というものと本質は同じ『エネルギー』で、その間に差はない。人には、見えるもの 見えないもの (2015/03/04) がある。『熱』も『エネルギー』もその空間の姿を科学的に測定できない。検証できない存在は科学論の認識になり難いのだろう。

 

 

電流計とエネルギー流

電流計は何を計るか(2)  の結論を印す。

上の回路(2)の電流計は回路のエネルギー流に対してどの様な意味を持つか。

結論。

(2022/08/29)追記、訂正。上の回路で、電力 p が

p=δp/√(LC) とした。この条件は、負荷が電線路の特性インピーダンスに等しい場合である。瞬時電力の具象解剖 (2022/02/03) を参照。

回路のプラス側に電流計A を繋いだ。その回路の回路定数をまとめた。回路定数は単位電線路長当たりの値とする。L[H/m] 、C[F/m] 等の電線路に電流計が接続されれば、負側電線路近傍を伝送される『エネルギー』δp[J/m]が負荷の特性で決まる。そこに電流計が挿入される訳だから、その伝送エネルギー流は乱れる。『エネルギー』はその値や波形を科学的実験で測定できない。電気理論は電圧計や電流計で、その回路現象を捉える。しかし『エネルギー』は観測できない。電流計のコイルに貯蔵される『エネルギー』の量をδa[J]とする。Laa[H]が回路に挿入された時、回路定数をどの様に解釈するか、それを平行二線式回路の定数について に述べた。電線路電圧は電流計の電圧降下分を無視すれば(コイルに平行に抵抗値ゼロと見做せるシャント抵抗SHで回路電流Iを流す)、回路電圧V一定と考える。ただ、電流計接続回路部だけの回路に『エネルギー』分布に変化が起きる。電流計がプラス側に繋がれているから、そのコイル分の『エネルギー』が電圧のエネルギーギャップ条件を乱す事に成る。その『エネルギー』分は負側で保障して、電圧一定条件の『エネルギーギャップ』を保持する事に成る。電流計部の『エネルギー』の伝送速度が遅くなる。その事で、電線路全体の伝送電力p[W]は何処も一定に保たれることになる。負側電線路近傍空間の伝送『エネルギー』密度δA[J/m]および電流計コイルエネルギーδa[J=(J/m)と等価]の間に

δa=(Laa/L)δp

の関係がある。

以上が結論である。『エネルギー』量が計測できない科学的検証の限界が在る。それは文学、哲学と言われるかも知れない。ただ一つ重要な実験結果として、変圧器の奇想天外診断 (2015/06/02) および天晴れ(コイルと電圧とエネルギー)に示した意味が電線路の『エネルギー』伝送の電磁現象の原理を示していると言えよう。

コイルの電圧とエネルギー

電気回路現象はそのエネルギー伝送空間のインダクタンスL[H/m]とキャパシタンスC[F/m]の機能が司る。

その特異な回路に共振回路がある。その回路現象を解釈するにコイルの端子電圧の意味が中々分かり難い。

今までの解釈で、変圧器のエネルギー伝送現象 (2020/11/14)。および電磁誘導現象の真相 (2020/10/25)等の認識に辿り着いた。『電流』や『電圧』による解釈はあくまでも電気技術的な解釈手法である。自然現象の本質は『エネルギー』が握っている。『電圧』と『電流』の意味も『エネルギー』の空間現象として理解しなければならないことが分かった。そこで回路共振現象を理解しようとすると、どうしてもコイルの端子電圧の意味を捉えなければ困難との認識に至った。それが『エネルギー』による解釈になる。コイルとコンデンサ間の『エネルギー』の遣り取りになる。

上の記事で、『エネルギー』による解釈の基本はある程度示した。それでも共振現象でのコイルとコンデンサ間の『エネルギー』の遣り取りやその周期 Tと(LC)^1/2^[s] 間の関係式の問題は解決に至っていない。

それは『エネルギー』がコイル内でどのような空間分布状態かに関わる解釈の問題でもある。そこにコイルからコンデンサへの『エネルギー』転送とコイル端子電圧の関係が明らかにならなければならない筈だ。コイルは電圧に対して他力本願的機能に思える。自己で端子電圧を決める機能を持っていないようだ。コイル電圧は端子に掛かる外部のエネルギー供給源によって決まる量である。コイル端子への線路静電容量と分布エネルギー量から決まる。

端子電圧とエネルギー。

コイルに図のような電圧を掛けた。コイル端子電圧は外部回路との電気エネルギーのコイルへの入射あるいは放出を伴う。『電圧』とは回路端子の電線間の『エネルギー』分布量と静電容量によって決まる概念量だ。コイルに正の電圧が印加されれば、それは負側電線空間を通して、コイルに『エネルギー』が流入する現象である。その端子電圧に対抗する現象がコイル内に起こらなければならない。電圧に対してコイルは受け身である。印加電圧が零の区間で、コイル端子電圧はどの様な現象になるか。電気物理(コイルの電圧) (2019/03/17) はコイルの『エネルギー』による解釈を始めた頃のものだ。しかし、誘導エネルギーに観る技術と物理 (2019/04/03)はやはり技術論であり、空間に実在する『エネルギー』の認識より技術概念での誘導エネルギー論である。コイル内空間に実在する『エネルギー』は、技術的な『電流』によるコイル内の『エネルギー』(1/2)Li² のような、コイル空間のどこに在るかが理解できないものとは、その意味が異なる。質量に付帯する運動エネルギーとは全く次元が異なり、光と同じ空間の光速度流の『エネルギー』なのだ。

コイルの芯に磁性体があるとする。コイル端子に電圧が印加されている限りは、コイル周辺空間に『エネルギー』が流れ続けなければならない。『エネルギー』の入射が受け付けられなく、内部空間が『エネルギー』の飽和状態になれば、コイル端子の電圧は零の短絡状態となる。その基本的意味を理解した上で、端子電圧とコイル周辺の『エネルギー』分布の関係の解釈を示そう。

電源電圧一定値の①の区間では、コイル間の分布静電容量に対する『エネルギーギャップ』の分布量が一定に保たれている。1ターン当たりの電圧がvuで、その巻数倍が端子電圧となる。その間は電源側から『エネルギー』が流入し続ける。その貯蔵容量が中心空間に要求される条件となる。

②の区間。突然電圧値がゼロとなる。その時コイル巻き線周辺の『エネルギー』の分布は①と異なり、エネルギーギャップも零となる。しかし既に貯蔵した『エネルギー』はコイル内部に蓄えられている訳だ。その『エネルギー』の分布様態はコイル巻線部の内側の空間内を還流する図のようなものとなる。この状態は、鉄心部に記したように、その磁極 S と Nが決まった向きの軸性のエネルギー流となる。

以上によって、観えないコイル内の『エネルギー』の分布とコイル端子電圧の関係を解釈する。

あくまでもコイル端子電圧は、『エネルギー』貯蔵機能要素を発揮しながら、その外部への現れ方は他力本願である。外部回路の『エネルギー』分布によってそれに対応する不思議な機能を備えていると解釈した。

この結論をもって、漸くL C の共振現象の解釈に進める。

ダイオード電圧

半導体の世界(2020/08/26)。第二次世界大戦後に半導体に関する世界が始まったのかも知れない。今の情報化社会を支えている基本技術は半導体製品に負っている。p 型半導体とn型半導体の接触面に不思議な世界が繰り広げられているようだ。

p n junction と『エネルギー』

p 型半導体とn 型半導体を接触させると、その接触面に不思議な世界が現れる。その基本となる製品の代表がダイオードであろう。トランジスタに成れば、npn等と接合面が二つになり、さらに不思議な世界を創り出す。電気回路に組み込めば、回路を切ったり、繋いだりするスイッチの機能を発揮する。

エネルギーギャップ。物質はそれぞれ特有の保有エネルギーを持っている。その保有エネルギーの外界作用性を物質の特性として発揮すると解釈する。例えば「イオン化傾向」と言う物質の外部作用性の強さの違いもその評価法の一つであろう。半導体の接合面に現れる特徴がそのエネルギーの持つ作用性と考えられよう。p 型半導体がn 型半導体より内部保有エネルギーが多く、接合面に『エネルギーギャップ』を生じる。その接合面の『エネルギーギャップ』がスイッチオフを起こす。スイッチが『オフ』とは電気回路の『エネルギー』を伝送する空間が構成されない、即ち伝送空間が途切れた状態である。導線の中を流れるものが何も無いのに、僅かにその導線が切れただけで『エネルギー』の伝送空間が失われるのも不思議である。その導線切断と同じ機能を、半導体の接合面の『エネルギーギャップ』の存在が果たし、回路遮断の原因となる。その回路遮断を除去するには、n 型半導体に外部から『エネルギー』を供給してその『エネルギーギャップ』を解消すれば伝送回路空間が構成され『オン』と言う状態になる。即ち回路導線の中に『エネルギーギャップ』の部分が無ければ、伝送空間が構成される。図では、『エネルギーギャップ』の電圧 V_off_で表した。接合面のコンデンサ容量 Co [F] とすれば、そこのエネルギー量が Co× V_off_^2^[J] であるという意味で解釈して良かろう。

ダイオードドロップ V 。ダイオードがオンの時、電圧降下が生じる。0.6~0.7 [V] 程度の電圧のようだ。その電圧分に相当するだけ、 n 型半導体側の『エネルギー』が多い状態になっているという事である。(『電圧』と言う技術量は電位の低い側が『エネルギー』の多い分布状態を評価する概念である)。その時、ダイオードはオンとなり、回路の『エネルギー』伝送可能な空間が構成されるという意味と解釈する。ただこのダイオードがオンの時の電圧降下 V は接合面のオフの『エネルギーギャップ』とは異なる意味と解釈したい。ダイオードオンのための消費エネルギーに関わる電圧と理解する。

過去の記事を辿っての道のりであった。

ダイオードの機能 (2016/09/17) 。謎(pn接合は何故エネルギーギャップ空間か) (2017/05/18) 。

水の電気分解

はじめに(2019/11/19)

有名な本「ロウソクの科学」を読んだ(まだ最初の何章かであるが)。なかなか理解するのに基礎知識がなく、困難である。年代は1860年ごろの出版書である。現代科学論と比べれば相当昔の話の内容である。しかし乍ら、有名なファラディーの公開実験講座の講演記録で、とても内容は高度なものに思える。実験器具や化学薬品など基礎的なものでありながら、深い内容として筆者には有意義な著書になる。その中に水の電気分解の実験記事がある。J.J.トムソンの陰極線より前の話である。『電子』概念がない頃の実験である。それでも直流電源は立派に働いていた。その本を読んで、水の電気分解がよく理解できない筆者自身を自覚させて頂いた意味でも貴重な内容の本である。電気分解は化学の話になるかと思うが、電気との関係で『電子』の意味を考える話としてとても重要な物理的内容を含んでいると思う。今取り上げている、電池とイオン化傾向そして『エネルギー』との関係の物理現象が物理学基礎理論として大変意味が有ると考える。そんな筆者の理解できない内容を自己問答として取り上げてみる。その取り上げる内容が科学知識としては本当に基礎的な知識であるから、専門家がどのように評価されるかにも関心がある。読者にも参考になろうから、ご指導をコメント頂ければ有り難い。理科教育の科学常識に関わる意味であり、特に『電子』概念の論理性の問題でもある。なお時代として「ロウソクの科学」ではまだ電子論は採られていない。

水の電気分解

現象と意味。 水の電気分解の現象を考えると、とても難しいことに思える。幾つかの場合に分けて、分からない意味をハッキリさせてみたい。自分の分からない事を明らかにするには、その分からないという意味の内容を明確に認識し、自覚することが先ず大事である。そこから研究の第一歩が始まり、より深い理解に辿り着く可能性が見えてくるかもしれない。と考える。

水とは何か?

検索すれば簡単に解説がされているが、筆者にはとても理解できない事ばかりである。水の分子一つを取り上げても、何故酸素と水素が結合して命の水に形態変化をするのか。朝露を観れば、踏み付ける草の命に愛おしさを覚える。目立たない草が水を作っているように見えるから。コンクリートの中に居ては決して見えない世界であるかも知れない。天然の精水 (2012/06/14) 。化学結合論として H2O を学習しても、何故そのように結合するかの原理は原子物理学の解明するべき内容である。自然界に存在しない電子で結合論を論じても、一般の市民が真に納得するだけの解説にならないだろうと思う(?)。クーロンの法則を電荷論の基礎に据えながら、負の電荷同士の電子が手を繋ぎあう共有結合等と言う結合力を認める合理的解釈が生まれる訳などどこにもない。そんな基本的矛盾を抱えたまま、科学コミュニケーションなど採れる訳がないと思うが如何でしょうか。

実験回路

回路①。 基本的な実験回路は①の場合である。まず図の直流電源の電池をエネルギー源としてみた時、エネルギーは電池の負極から電線近傍を伝播して、負荷対象に届く。この場合の負荷対象は水で、 H2O という分子の集合空間である。今の教科書の解釈は電子で説明されている。筆者は、その『電子』が実在するなどとは考えられない。「ロウソクの科学」でも未だ電子での解釈はない。電気のプラスとマイナスという説明もなされてはいないで、電気の力という言い方である。水に電圧を掛けると、酸素と水素に電気分解されるという実験的事実である。その実験的水の電気分解はさて、この①の場合で、筆者はここでも電池から『エネルギー』E[J]が水分子一つ H2O に供給されると解釈する。その時水の空間が負荷インピーダンスとなる。水分子に『エネルギー』がどのように印加されるかという問答になる。水中に?マークを印した。しかし、その水の空間にどのように電圧が印加されると考えればよいか良く分からない。分子式で書き表せば、次のようになろう。電源からの供給エネルギーをE[J]とする。なお、水の電気分解と水素燃料電池は丁度逆の化学反応になっている。ついでに、燃料電池の場合も併せて示す。

電気分解    H2O + E[J](電気エネルギー) =(1/2) O2 + H2

燃料電池   (1/2)O2 + H2 = H2O + E[J](発電エネルギー)

電気分解は水(実際は純水ではなく、不純物が含まれている)に電気エネルギーを供給して、金属電極と水分子の間に掛かる電圧(エネルギーギャップ)に因って分子分解をすると考えたい。電子、電荷を物理量から排除すれば、残るはエネルギーによって解釈する以外ない。その『エネルギー』と言う概念が物理学理論で明確に捉えられていないと、残念ながら考えざるを得ない。それは『電荷』や『電子』が水の電気分解はじめ、電気現象の基本的論拠となっているのが現実であるから。『電子』での解釈は原子構造論からの『イオン』と『電子』の関係で如何にも分かり易いように思えて、科学常識として受け入れられてきたものであろうが、そこには『エネルギー』の意識が抜けた、大きな矛盾を抱えたものとなっている。電源からの供給エネルギーと言う解釈が無い。『電子』では『エネルギー』の役割を担えない。そこに物理学理論の基本的欠陥が隠されている。

針状電極

『電荷』を否定すれば、イオンと言う解釈が採れない。しかし電極には確かにプラス、マイナスという違いがある。(プラス、マイナス)という表現自体が『電荷』を否定したら使えないのであるが、エネルギー供給側(マイナス側)とその対称極側(プラス)などと区別しても、もっと分かり難くなるから,やむなくプラス、マイナスで表現する。さてそのプラス側とマイナス側の電極と水の接触点で、どの様な電気的ストレスが発生するのか?一つ電極が針状の尖ったものの場合を考えてみたい。電極が尖った場合は、空気中では明らかに火花、グローコロナの形状が異なる。負極側では勢いよくコロナビームが放射するように発生するが、プラス極側では先端に固まった小さなコロナとなる違いがある。それは水の中でもおそらく同じ傾向の現象に成ると考えて良かろう。電極が針状の場合は分解効率が良くなるのではないかと考えたい。

印加電圧の極性が両電極で異なる。水と電極金属の間の極性(エネルギーギャップの電圧極性)が逆になる。電源のエネルギー供給は負極側からなされる。負電極と水の間のエネルギーギャップは電極金属側がエネルギー密度の高い状態を呈する。それに対して、陽極側の電極と水の間のエネルギーギャップは水が高エネルギー密度分布となると考えられる。陽極電極にはエネルギーはない。

プラスとマイナスの電極間にエネルギーギャップが掛かる。水分子と電極金属面間に大きな電圧(エネルギーギャップ)が分担されて印加される。学術的解釈論は水分子のイオン化が基本になっている。『電荷』が存在しないから、残念ながらイオン化論以外の解釈で理解したい。解釈の基準に、エネルギーと結合 (2018/10/10) および水の妖精七変化 (2017/11/02) さらに結合エネルギー:不思議の砦 (2018/12/02) を参照したい。水素分子と酸素分子が2対1の体積比に水が分離される。この実験的事実は科学論の基本として、紛れもなく自然の本質を表している。この科学的常識が『電荷』に因る、あるいは『電子』に因るイオンの解釈になると途端に論理性が欠落してしまう。

回路②。

①の集気は酸素と水素が別々の試験官に採取される。だから酸素と水素が別々にプラス電極とマイナス電極で分解分離されると分かる。「ロウソクの科学」でも、この②のように一つの試験管内にプラスとマイナスの電極によって、酸素と水素を電気分解しながら混合気体として採集している。その混合気体がやはり酸素と水素から成り立っていることを実験的に証明して見せているところが素晴らしいと感じた。その混合気体を燃焼させれば元の水になることを実験で示している。ファラディーのその実験では「電荷」も『電子』も説明には出ていない。ファラディーは“電気の力”や“エネルギー”と言う用語で解説している。そこには違和感はない。ー強力なヴォルタの電池、その二つの電極ーなどと表現しているが。20世紀初頭からの数理的理論偏重の構築された物理学によって、生活科学からの乖離が始まったのが原因ではないかと危惧する。そこに分かり難い曖昧さが忍び込んできた。

回路③。

この回路は①の回路の水(?)の部分を分離したらどうなるかと不図疑問に思ったものである。実験してみないと分からない。回路①の水(?)で繋がった部分の、所謂イオン(?)の移動ができない場合に水が電気分解されるだろうかと試したくなった。この回路はただそれだけの意味を示した。

水素爆発現象が有る。福島原子力発電所崩壊での実際の様子にもあった。大気圧の7倍の高圧破壊になるという。太陽の原理は水素の連続定常核融合現象と専門家は指摘している。水素核融合は水素がヘリウムに変換する現象で、その時エネルギーを放射する核融合反応と言う。ウラン原子の核分裂と逆の核反応現象であると。素人の感覚からすると、太陽の水素原子核融合反応が継続的にほぼ定常の水素原子消費で起きるという状況が信じられない理解力の無さを抱え込んでいる。クーロンの法則との関係で、原子共有結合原理の理解ができない悩みと同じく。「ロウソクの科学」で水素の燃焼実験を公開している。筆者は残念ながらそのような水素燃焼実験を見たことが無い。高圧水素ボンベでの燃料電池の発電方式は水の電気分解と丁度逆の化学反応だ。水とエネルギーの間の有り触れた不思議が考える一コマを運ぶ。

 

 

 

電池と電圧(エネルギーの実験)

大人のおもちゃのような実験をしてみた(2019/11/13)。専門家の決して考えない実験かも知れない。乾電池の乾電池による充電実験。変圧器の奇想天外診断 (2015/06/03) に似た思い付きの実験だ。

実験の目的と結果

乾電池のエネルギーの意味を電流や電荷概念に依らずに、空間伝送の意味でランプへのエネルギー供給を確認したかったのが本当の目的であった。乾電池はエネルギーの充電ができないだろうという思惑があった。残念ながら思惑外れで乾電池も充電されることが分かって、一寸がっかり。

実験の概要

先ず、電池と電圧(エネルギーの基礎研究) (2019/11/14)で電気回路エネルギーと電圧との関係を具体例で解説しようと考えた。その過程で不図乾電池は充電できるのかと心配になった。早速実験で確かめることにした。初めに書いた通り充電可能であった結果で、思惑外れの失敗である。電荷概念否定あるいは電流否定の実験的検証にはならなかった。

実験回路と思惑

図1.に示した回路は電気回路の実験としては全く意味の分からないものであろう。同じ乾電池4個を3個と1個に分けて、差の電圧を豆電球にかける回路である。この回路を取り上げた訳は乾電池に充電作用が有るかどうかに疑問を抱いたからである。この回路構成で、一つの電池V1が充電せずにランプが点灯することを期待したのである。エネルギーが直接空間を伝送して、電池充電なしにランプだけ点灯となれば回路電流の解釈を否定できるかと思った。

 

図2.実験装置

図1.の回路構成を単3乾電池4個入りの電池ホルダーで作った。アルカリ乾電池4個と3V用豆電球(購入経費の費用891円也)で実験装置とした。

 

実験結果と考察

アルカリ乾電池はみんな同じかと思うが、どうも特性が同じくないように思った。V1用として使う電池で充電特性が異なるようだ。比較的早く電圧が高くなるものと、遅いものがある。充電の特性が異なる。

最初の実験。装置組み立て後すぐに回路でランプを点灯した。V1の電圧を計ったら、2.2[V]まで上がっていた。真逆(マサカ)とは思うが、破裂するかもしれないと少し危険を感じて中止した。数日後にまた同じ実験で電圧を計り、確認した。もうV1 の電圧が2.2[V]になるようなことはなかった。せいぜい1.7[V] 程度にしか充電しなかった。少しずつV1電池が充電され、電圧が上がっている様子は見られる。

スイッチSのon off による回路状態の違いの解釈。

スイッチoff

乾電池の負極側はエネルギーレベルが高い。スイッチと電池にそれぞれエネルギーギャップがある。負荷ランプにはそれが無く、電圧ゼロである。

スイッチ on

スイッチオンでランプにもエネルギーギャップが生じる。それが負荷端子電圧である。ここで、乾電池に充電はないかと予想したが、間違いであった。乾電池から乾電池にも充電でエネルギーが入射することが分かった。電池電圧V2のある割合でランプと電池V1 にエネルギーギャップが印加され、消費と充電が進行する。

考察

各電圧値はテスターで測定した。測定中にゆっくりと電圧値が変って行く。エネルギーの消費と同時に電池 V1 への充電が進む。総体的にはエネルギーが減少する。アルカリ乾電池の充電機能は電池の放電機能と同じく負電極亜鉛と電解質の間のエネルギーギャップの化学物質的エネルギーレベルの解釈に掛かっている。

構造と電池の原理

アルカリ乾電池

アルカリ乾電池の内部構造はマンガン乾電池とは相当違うようだ。しかし基本的には陰極の亜鉛Zn粉末が水酸化カリウムKOH電解質の中でエネルギーギャップを構成していると解釈できる。陽極は二酸化マンガンで構成されている。両極間は一応セパレータ(耐アルカリ性ビニロン)で分けられている。電解質は透過するとある。

アルカリ乾電池の原理

Wikipediaに示されている化学反応式

(負極) Zn(s)   +  2OH⁻(aq) → ZnO(s) + H2O(s) + H2O(l) + 2e⁻

(正極) 2ZnO2(s) + H2O(l) + 2e⁻ → Mn2O3(s) + 2OH⁻ (aq)

この化学式が示す原理は『電子』が負極から外部回路を通って正極に戻り、電荷の収支が整って電池の役割が成り立つという意味である。電子が『エネルギー』を負荷に供給する論理的な解説が全く示されていない。だから化学方程式は電池の『エネルギー』供給の説明には成っていない。物理学にも、化学にも『エネルギー』の概念が定義されていないところに大きな科学論の矛盾がある。『電荷』や『電子』の『エネルギー』との関係性が示されなければ科学理論の矛盾は解消しない。

エネルギーギャップによる原理解釈。

亜鉛Znと水酸化カリウムKOH の化学物質の間における接触エネルギーギャップEg[V]が電池エネルギー供給原理をなしているはずだ。上の化学方程式には水酸化カリウムの役割が示されていない。アルカリ電池であるから、カリウムK がエネルギー源としての主役をなしているはずだ。亜鉛 Zn とカリウム K の間のイオン化傾向の特性差が基本的意味を持っていると解釈する。

まとめ

電池がアルカリ電池であった。アルカリ電池は充電機能も少しは持っているようだ。まだ、マンガン乾電池での確認をしていない。マンガン乾電池も充電するか?

(2020/01/03)追記。元旦に単一乾電池で、マンガン乾電池2本とアルカリ乾電池2本が有ったので、マンガン乾電池1本を3Vランプと直列にして、アルカリ乾電池2本とマンガン乾電池1本の直列電圧4.5Vほどの電圧を掛けた。マンガン乾電池の電圧は徐々に充電され 1.7V以上に高くなった。破裂しないかと気味が悪くてそれ以上続けなかった。マンガン乾電池もアルカリ乾電池と同じく『エネルギー』の充電ができることだけは確認できた。その充電がどの様な化学的反応で成されるのか理由を知らない。

電気物理(コイルの電圧)

はじめに
考えるということはどう言うことかと思った。分からないこと、疑問に思うことは突然頭の中に浮かび上がる。しかも、その内容は至極当たり前で、今まで特別気にも留めないものである。しかし、不図気付くと何故か答に窮してしまう。それが標題の『コイルの電圧』の意味である。電気物理(電圧時間積分とエネルギー)を書きながら、コイルの電圧の意味だけ確認して置かなければと気付いたのでここに纏めたい。

統合するということ
電線路は空間を通してエネルギーを供給する設備であると前から述べ理解していた。電流と言う負の電荷の電子など電線を流れていないと理解していた。そこにコイルの機能を物理的にどう理解すべきかと考えたときに、磁束を電圧時間積分として納得していたにも拘らず、磁束飽和とコイルエネルギー貯蔵の関係を統合して理解していない事に気付いた。解った心算でいただけで、本当は分かっていなかったのだと。ここで、この難問にどう始末を付けるかと気分が暗闇に落ち込む。様々な電気現象の中からパズルの組み立てのような、何か忘れている駒札が無いかと探る。考えることは忘れものを拾って結びつける作業のようだ。その仕方は決して理屈で考えるというものと違い、自分の感覚に馴染むものを探し出すような精神的作務のようである。何か特別にどう研究するという事ではない。ただ「ボー」と思い悩むだけのようだ。今回の経験はそんな感じの答えへの道であった。

納得したこと コイルの電圧とはどんな意味を持っているのだろうか?と一瞬思い直した。『電圧時間積分』と言う意味を大切なことと理解していながら、電圧が線路の空間エネルギー分布の解釈技術概念であるという事との繋がりで意識していなかった。磁束が物理的実体でないことを唱えながら、磁束飽和現象と言う意味とエネルギー貯蔵の意味との統合に失調していたことに気付いた。(2020/05/31)追記。以下のエネルギーギャップの解釈で、変圧器の1次、2次巻き線間の空間エネルギー伝送を考えた時、コイル1ターンへの入射エネルギーの意味を考慮すれば、それは負荷抵抗の内部エネルギー入射分布と似た様相が考えられる。少し検討したいのは、コイル1ターンごとにほぼ均等にエネルギー入射が起きると解釈すべきかと考えたい。従って少し以下の解釈は修正が必要かもしれない。

(2020/11/04)追記。上で指摘した通り、コイル端子電圧はコイル全体に均等に空間のエネルギーが印加される意味を表すとなる。電磁誘導現象の真相 (2020/10/25) 。

電圧とエネルギーギャップ コイルの回路解釈は電流iと電圧vで解釈する。コイルのインダクタンスL[H]とすれば、コイルの貯蔵エネルギーはW=(1/2)Li^2^[J]と流れるコイル電流の瞬時値[A]の2乗で評価する。この数式による解釈が電気磁気学、物理学の世界の常識である。この式で理解するということは、そのエネルギーはどこにどのように分布していると考えるのだろうか。一方コイルはその特徴を磁束で解釈する。磁束とエネルギーの関係をどのように理解しているのだろうか。磁束が直接エネルギーと同じとは理解していない筈だ。結論は上の図のように、電圧の極性の負側の導線近傍にエネルギーの高密度分布が存在し、そこからコイル導線近傍にエネルギーが入って行く。コイルの導線同士の間の空間にエネルギーが分布し、そのコイル全体にエネルギー分布が行き渡った時、コイル内のエネルギー分布が平衡し、エネルギーの貯蔵余裕が無くなった時コイル端子間のエネルギーギャップが零となる。その状態がコイル端子電圧零の状態である。電圧から見れば、コイルにはエネルギーが貯蔵されているにも拘らず、コイル端子がスイッチで短絡された状態になる。これがコイルの端子電圧の物理的意味である。電気回路におけるスイッチの物理的意味が、そのスイッチの端子間のエネルギーギャップの有る、無しの意味と同じようなことである。実際はこのようなエネルギーギャップの意味をスイッチ端子間の『電荷』分布で解釈している訳である。その『電荷』は自然界に実在するものではないのだ。

トランジスタのオン・オフ機能と理論の間に?

(2020/11/16)追記。この記事で述べた疑問。

トランジスタがスイッチング機能を持つ訳が理解できないという点である。実際に極めて高速の回路スイッチング機能を発揮する。上の図の(3)のような機能で捉えている。しかし、NPN型トランジスタのコレクタ側はダイオードのoffの向きである。何故そのようなダイオードoffの向きであり乍ら、onするのかと言う疑問である。コレクタ側はスイッチング動作時、吸熱現象による電圧電流の積の電力は負となる。この現象に対する理論は完璧なのか?どう考えても理解できない。そんな意味を述べた記事である。

突然理解不能の事態に遭遇する。電力用トランジスタは相当大きな電力でも自由に高速でスイッチング素子として制御可能な優れた機能素子である。半導体理論を余り学習して来なかったから、トランジスタのスイッチング機能に何の不思議も気付かなかった。

トランジスタとは スイッチング機能の優れたトランジスタの動作機能については簡単に解釈して納得していた。ところが不図気付くと大変な誤解であったのかと理解不能に陥った。

トランジスタとは トランジスタのスイッチング機能を利用する面から単純に感覚的に認識していた。その回路をベース側に電磁石コイル制御電流でコレクタとエミッタ間の接点制御回路として理解していた。スイッチング機能の理解にはこれで充分であった。しかしトランジスタのN型、P型半導体の接合体として捉えると、二つのダイオードが逆向きに接合された構造であることが分かる。コレクタ側からベースを通してエミッタへ電流を流すとすると、どう見てもコレクタ側のダイオードは電流の流れない逆方向である。どのような製造過程でN-P-N構造の半導体接合部ができるかは知らない。しかしN-P-N型の積層構造であると説明されているから、基本的にダイオードが逆向きで接合されていることになる。ダイオードの機能を解説する時、N型からP型へは逆向きだからダイオードは決してONして電流が流れることはないと言う。謎(p n 接合は何故エネルギーギャップ空間か)でダイオードの意味を考えたので、トランジスタはどうかと考えて見た。

トランジスタはオンするか トランジスタのオン・オフする機能の原理が分からなかったことに気付いた。

オンするかオンするか トランジスタに印加する電圧の極性でスイッチング素子としての機能が働くかどうかが分からない。考える頼りはダイオードの機能であるPN接合とそこに掛かる電圧の極性だけである。難しい量子力学の電子運動論は、自分にとっては、理解できる範囲を超えているから無理である。上の①,②と③の各場合の印加電圧の極性でどうなると考えれば良いか。

③が何故オンするか 何故オンするか不思議だ。

何故オンか?何故オンするか 一通りそれぞれの場合のB-C間に掛かる電圧Vbcを考えて見た。Vbcが正ならコレクタ側のダイオードはオンすべき順バイアス電圧である。①と③はB-E間はオンである。②はB-E間が逆バイアスでオフである。さて、①は勘ではオンすると思うが実験してみないと。エミッタ電流と逆向きの兼ね合いでB-C間を通る導通か。②もB-C間での導通のオンになるか。従って①と②はスイッチング機能はないことになる。問題は③が何故スイッチング機能を発揮するかである。理論解説では、ベース電流に対応するエミッタからの注入電子がp型半導体のベース領域を通過中に殆ど90%以上がコレクタ側に注入されるとなっているようだ。それがB-C間の逆向きダイオードの逆流電流を可能にすると説明されている。そんなダイオード機能の逆向き電流を流す理論はどこから生まれたのかとても不思議だ。どんな解説でも、ダイオードの本質的原理を打ち消すようなことだけは言って欲しくない。仕事が無い(1939/12/01 舞鶴鎮守府へ?職歴も書けない故)哀しさから時々、御免なさい(お恥ずかしいことです)。P-N junction 内のエネルギーギャップが解釈の要になろう。『電荷』ではなかなか理論の矛盾を取り除けない。現在まで科学漫遊の旅を経ても、特別研究対象と言える専門もなく、光量子の空間エネルギー分布概念や三相交流回路の瞬時空間ベクトルと何とも取り柄のない始末に負えない存在の浮遊体のようなままに在る。少しトランジスタのスイッチング機能のエネルギーに特化した見方を展開してみたいと思って筆を置く。

光に関する記事 しばらく離れていたが、大事な知って欲しい光の概念がある。もう一度まとめてみたい。

電気回路とスイッチの機能

電気回路に欠かせないものにスイッチがある。エネルギーを負荷に供給したり、遮断したりする役割を担うのがスイッチである。一般には電線路に流れる電流を切ったり、流したりする役割として理解しているだろう。その考え方で『オームの法則』を理解するには十分である。しかし、電流とは何か、電子とは何かと電気現象の本質を物理的に理解しようとすると、単に電線路のオン、オフというだけの捉え方では十分その意味を捉え切れていないと言わなければならない。前回電圧ーその意味と正体ーで電気回路の電圧の意味を捉え直した事により、電気現象の本質に迫れ、より感覚的に納得できるようになった。その空間のエネルギー分布からスイッチの機能を考え直してみたい。多寡がスイッチと言うけれども、その奥には深い意味が隠されているのだ。そこにこそ、科学技術と自然現象との間に横たわる人間を理解する哲学的真理が垣間見えると思う。

『エネルギー』の空間実在性の認識 『エネルギー』とは決して『運動エネルギー』と『位置エネルギー』だけではない事を認識すべきである。ややもすると、科学論の基礎認識としてエネルギーは『運動エネルギー』と『位置エネルギー』であるとの認識から論説が始るように思える。それは、現代物理学の教科書的教育の現状に原因がある。私はその自然科学論にとても違和感を抱くのである。例えば「空間のエネルギー」と検索する。そこには驚くような意味不明の精神論と関係付けるような記事まで現れる。科学論を論じる方は、電気磁気学にも十分精通しているものと思う。電気回路でコイルを思い描けば、そのコイルの巻線内の空間に『エネルギー』が蓄えられるというのが電気工学では常識となっていると思っている。しかし『空間エネルギー』がそのコイルに存在しているとの認識が無いなら、その『エネルギー』はどこに在ると考えるのだろう。どうも理論物理学では、『運動エネルギー』と『位置エネルギー』の二つのみで『エネルギー』を解釈していて、空間に存在する質量無しの『エネルギー』の実在性を認識していないからであると考えざるを得ない。そうでなければ空間に『エネルギー』が存在すること位は日常生活で、感覚的に分かる筈であろう。このコイルのエネルギーには『質量』はない。『運動エネルギー』と『位置エネルギー』は必ず『質量』をその拠り所としている。『質量』の無い空間の『エネルギー』を認識しているかどうかの問題である。その『エネルギー』認識のために、この電気回路のスイッチとその機能と言う視点で考えてみたい。

電源から負荷へのエネルギー供給 乾電池などの電源から負荷(懐中電灯など)に『エネルギー』を供給する。それは懐中電灯を点けることになる。スイッチを閉じて(オンして)、そのままにして置けば、いずれ電源(電池)の『エネルギー』を使い切ってランプは暗くなる。その時何を使ったのかと言えば、それは電流でも電圧でもなく、『エネルギー』を使い果たしたのだ。その時の『エネルギー』とはどんなものかを電気回路の中で理解しているかという問題である。電気回路のスイッチとは、『エネルギー』を取り扱う機能だという事である。電気回路のスイッチの機能を『エネルギー』との関係で考えてみよう。

直流回路の空間エネルギー

回路とスイッチ回路とスイッチ  スイッチ二つの単純な回路である。この回路を見てどのような事を思うでしょうか。先ず二つのスイッチがオフの時。考えて欲しい事はどこに電圧が掛っているかです。当然スイッチの間の空間に電圧が掛っている筈です。何故そこに電圧が掛っている事に成るのでしょうか。その意味は『電圧』とは何かと言うことです。それは空間のエネルギー分布によって決まる技術的評価量である。

 

写真298

等価回路とエネルギー分布 スイッチがオフのときの電気回路の状態は回路導体で囲まれた空間にエネルギーが分布しているのである。

 

 

その静止したエネルギー分布は電気回路としては、スイッチを含め、空間にコンデンサが分布し、それぞれそこにエネルギーが保有されているとも見做せよう。その様子を表現すれば、色付けしたエネルギー分布の図のようになろう。あくまでもおおよその分布表現でしかなく、正確な分布を書き記すことなど出来ない。このスイッチオフの状態から、スイッチ投入したらどのようなエネルギーの流れが生じるだろうか。回路空間の様子を考えてみよう。

写真299スイッチS2投入 回路導体で囲まれた空間全体が『エネルギー』の流れの過渡状態に成る。回路空間全体がコンデンサとコイルの分布した過渡現象状態を経る。 直ちに定常状態に入り、普通の抵抗の回路になる。

交流回路のスイッチ

交流回路とスイッチ交流電源電圧をスイッチでオン、オフ制御する場合を取上げて考える。正弦波交流電圧に対して一定周期でスイッチを制御するとする。次の記事への橋渡しの意味も込めて、『半導体素子』のスイッチング機能を含んだ動作を取上げた。

(2020/08/29) 追記。

上の回路の中に『半導体素子』のスイッチング機能を含んだ云々とあり、その具体的な意味が示してなかったので、サイリスタ(SCR)でのスイッチング回路構成を示す。なお、サイリスタの動作機能は制御整流素子として優れている。その機能を電磁コイルで表現してみた。点弧角αで瞬間オンすると、オンが自動的に続く。オフはダイオードと同じ回路状態で自動的に遮断する。回路状態とは下に示した意味である。半導体では機械的スイッチと異なり火花は発生しない。以上追記。

上の制御はスイッチをある位相αでオンし、電圧値が零でオフするものとする。しかし負荷が誘導性負荷の場合には、誘導性リアクトルの貯蔵エネルギー分の処理に問題が生じる。即ちスイッチを切って接点が離れても、負荷の保有するエネルギーがある限り負荷を切り離せない。その為スイッチの接点間に火花が発生し、少し回路のオフが遅れる。その遅れ分の角度βを消弧角と言う。

交流回路の空間エネルギー分布 直流電源の場合と異なり、電線路空間のエネルギー分布はその電圧周期に従って常に変動し続ける。その空間のエネルギー変動はほぼ光速度に近い即応性で対応する。スイッチ接点間の電圧も電源電圧とは周期の遅れと値で異なるだろう。

スイッチ機能のまとめ 『オフ』は接点間で『エネルギーギャップ』を支える。『オン』は『エネルギーギャップ』を零とする。

ダイオードの機能 (2016/09/17)

トランジスタのオン・オフ機能と理論の間に (2017/05/23)

物質のエネルギー準位

科学漫遊の旅から観えて来たことがある。世界に存在する物質は、すべてそれぞれ特有の『エネルギー準位』を持って存在すると言えるように思う。しかもそれはその存在する環境(温度、圧力など)によって変化する。比熱、誘電率、膨張率など様々な物理的特性によってその『エネルギー準位』の様相が特徴づけられる。物質同士の接合、接触によって特徴的な様相を示す。その一つに『触媒』の不思議も挙げられよう。『エネルギー準位』とは必ずしもその物質の保有するエネルギーと断定できなかろう。その物質がその外部空間に存在する物質に対して影響する空間へのエネルギーの支配力のように思える。基本的に物質の保有エネルギーはその質量自体もエネルギーの局所化したものであり、質量の基はエネルギー(光など)そのものであるから。

半導体のエネルギー準位 半導体で、p型とn型半導体に分けられる。シリコンSiに前後の周期律元素を添加すると、その混合結晶の間にエネルギー準位の違いが発生すると考える。その接合面で、エネルギー準位の差、即ち『エネルギーギャップ』が生じると考える。それぞれp型半導体とn型半導体の抵抗率はどんな値かと思って検索するが、p型だけは5.0 Ωcm とあるがn型は幾らか分からない。どうしても『フェルミレベル』の解釈では理解できずに勝手に自己流の解釈で評価したくなった。『疑問』は教育的な意味で生徒学生に提示する有効な意味にもなろうかと思う。当然現在の理論を解説したうえでの事ではあるが。その事は学生に考える手立てや研究の励みを与える事にもなろう。(2017/05/17)修正。