(2024/02/22).
前の記事で言い過ぎたかと反省している。
『電圧』の物理的意味が、どの物理学者も答えられない不可解な状態に在るのだ。等と反感を買う恐れ多い事を印した。しかし、その意味は『電荷』が『電圧』の物理的原因だと考える限りでは、『電圧』の物理的意味を理解していないと言わなければならない。そこで、『電荷』と言う物理量の意味不明を問題にしたい。
『電荷』とは何か?
『電圧』という意味を解釈するには、先ず『電荷』と言う伝統的基礎概念の物理的意味をハッキリさせなければならない。電気磁気学と言う物理学理論の一つの基幹分野がある。その物理学理論の基幹概念が『電荷』であろう。その『電荷』の物理学的意味を明らかにしなければ、『電圧』という科学技術用語・概念の意味も明らかにはできないと思う。
誰もが何時でも何処でも、『正電荷』『負電荷』と言う物理量が思い通りに、いとも簡単に発生・消滅するような解釈を展開できる。しかし筆者には『正電荷』という意味が解らないのだ。電気回路でコンデンサと言えば、『正電荷』と『負電荷』がそこに貯蔵されると言う。然し『正電荷』は物理学では、原子核の『陽子』しか持っていない筈だ。その『陽子』は正の電荷と質量から成り立つ素粒子のようだ。他に物理学理論では『正電荷』を保有した物理的実在は無いと考える。従って、電気回路のコンデンサの正電極側に現れる『正電荷』とは一体陽子関係以外何が考えられるのだろうか。『陽子』の質量が身に纏った衣類の様な物が『正電荷』かと考えざるを得ない。更に、『負電荷』も同じことで、『電子』の質量が身に纏ったものが『負電荷』で、それがコンデンサの負電極側に現れる『負電荷』の意味かと考えざるを得ないのだ。こんな余りにも素人的な疑問が、本当はとても重要な意味を持っている筈なんだ。高度な科学論での学術論は、その専門家しか理解できない様な専門用語の羅列で論理が展開される。そのような専門的科学論では、『電荷』がどの様な物理的実体かは全く疑問も持たれずに、その存在は至極当たり前のものとして共通に理解されている。筆者は50年も前に「アンペア―の法則」に疑念を持ち、1987年春には『静電界は磁界を伴う』で『電荷』の物理概念に疑いの発表をした。その夏には遂に『電流』概念の矛盾に気付いた。その後、様々な視点から多くの物理学理論の解釈論と自分の感覚的認識との間のズレを対象に思考を重ねて来た。自然現象の統合的論理性を求めた時、マグネットの電磁力の解釈で Axial energy flow と言う磁場解釈がその要であるとの認識に至った。磁束の物理学的無意味さが決定的な認識の方向性に道を開いてきた。全てが『エネルギー』の流れと言う単純な空間像から、科学実験では計測も、認識もできない意味を知った。現在は、完全に『電荷』が物理学理論の混迷概念の基となっているとの認識にある。
電気回路現象で重要な事は、電線路の空間を伝送する主役は『エネルギー』である。決して『電荷』や『電子』などは無意味な物理概念である。
さて、『電荷』概念の矛盾を述べたので、漸く『電圧』の物理的意味を述べることが出来る。『電圧』は『電荷』等では解釈できない概念なのだ。『電流』も『電荷』の流れ等ではない。物理現象として重要な事は『エネルギー』は空間でその本領を発揮すると言う事だ。
電気回路の『エネルギー』伝送機能を正しく認識するには、電線路の導体で挟まれた空間がその舞台になるのだ。決して導体の中を『電子』など流れないのだ。そもそも自然界に『電荷』等と言う物理量は存在しないのだから、他に何がとなれば『エネルギー』以外無いのだ。今回は、そんな事から電気回路の物理現象の意味を『電圧』という意味を取り上げて、解説しようと思った。
電気エネルギーも電波のエネルギーも光のエネルギーも基本的には空気や絶縁体空間を流れるのだ。その流れ方を規定するのが、電気技術理論での『静電容量 C
[F] 』と『誘導特性 L[H] 』である。
その回路定数と電気回路の物理的状態の関係を理解して欲しい。この回路は電線路の回路特性 (2021/08/11)で取り上げた回路である。
この回路は『電圧』の物理的意味を考えるに役立つ。回路は極めて単純である。直流回路で、電源電圧が電圧値Vである。電気回路が図のように、(A)部と(B)部からなる。負荷は抵抗である。(A)部と(B)部の導体の太さ d や線間間隔 D が違うだけだ。当然この回路の何処で『電圧』を計っても同じ値 V である。しかし(A)部と(B)部では物理的状態は異なるのだ。それは電気回路の回路空間などが違うことで、回路特性が異なる為に生じるのだ。回路の静電容量 C[F] はどの様な機能を持つか。また、インダクタンス L[H] はどの様な機能の定数か。
C[F] と L[H] の機能。
静電容量と言うC[F]はその空間に『エネルギー』をどの程度貯蔵するかを評価する電気技術的概念量である。この用語の表現に静電と言う言葉が使われている。静電という意味は正と負の『電荷』が対峙した、その間の空間の状態を言うように学習させられている『静的空間』と関係した『静電荷』との連想に繋がる。しかし、コンデンサは『電荷』等を貯める機能ではないと認識を改めなければならない。
次に、インダクタンスと言う L[H] はその空間の『エネルギー』の流れる速さを制限する機能要素と考えたら良いだろう。
回路の空間には、C[F] によってエネルギーの分布量を決める特性がある。その回路空間のエネルギー分布量に対して、L[H] によって時間的なエネルギーの通過量を決めることになる。負荷の値に関わらず、線路空間に分布するエネルギー量が決まり、そのエネルギーの流れ方が決まる。静電容量とインダクタンスの回路定数で、その電気回路空間の『エネルギー』の伝送特性が決まる。
電気回路の『エネルギー』の伝送速度は回路定数が決める。
伝送・通過時間は T = √(CL) [s]
となる。
電線路単位長さ当たりの回路定数が、 C[F/m] , L[H/m] とすれば、
『エネルギー』の伝送速度は c= 1/√ (LC) [m/s]
となる。