『問』 その状態でスイッチ S’ をオンとしてコイル端子を閉じるとする。その後の電流はオンしたスイッチ部を通るか、コイルL内を通るか。
『答』 尋ねたいのは、コイル端子を閉じたときコイルの貯蔵エネルギーは電流 i に因るのか、それとは別にコイル内の空間に貯蔵されたものと考えるのか、どちらで理解するかを答えて欲しいのだ。電流 i が電源に繋がった導線部 S’ を流れずに、わざわざコイル内を流れるとは考え難かろう。然しコイル内にはエネルギーが貯蔵されていると解釈しなければならない。そのコイルのエネルギーは電流に因るのか、コイル内の空間に貯蔵されたものと考えるのかを問うのである。ただ時間と共にそのコイルエネルギーも空間に放射あるいは抵抗で熱化されて無くなる。
(2016/10/20)追記。読み返して恥ずかしい。何も怒ることはないのに。ただ、電気磁気学で、物理学として教育するに、アンペアの法則やファラディーの電磁誘導則を本当に矛盾を感じないで皆さんが授業をされているのかと信じられない思いが強い。『物理学』の参照基準は『電荷』と『磁荷(この概念は既に存在しないとの科学常識に成っている)』の実在性を否定することであろう。変圧器などの電磁誘導則では、磁束と電流の関係は何も関係付けられていない。パワーエレクトロニクスの学習の最初で、衝撃を受けた電気磁気学の理論的矛盾がその電磁誘導則であった。1970年頃である。それ以降磁束は『電圧時間積分』で解釈して来た。1985年に「電気磁気学」の授業を担当して、アンペアーの法則との関係をまとめて、理論的矛盾を確信した。理解できないことが『物理学』という自然科学のそれこそ参照基準と看做すべき基本の電気磁気学で、論理性が成り立たない事が今も相変わらず生徒・学生に教育されている事である。実際の教育の制度で、文部科学省が諮問して審議会が取りまとめる方式はおそらく戦前からの行政手法として伝統なのであろう。その方式に従った『報告』であるから尊重すべきと言われようが、本当に役にたつ教育行政なのか。誠に見苦しい記事ではあるが、今教育に携わって居られる皆さんが『学習指導要領(高等学校)』の検定内容に矛盾を感じていないのか。少なくとも電流で磁束が発生するなどという矛盾は教育現場から排除して欲しい。『電圧時間積分』についてはロイヤーインバータの動作原理が簡潔に示している。G.H.Royer:A Switching Transistor AC Inverter Having an Output Frequency Proportional to the DC Input Votage (AIEE,July,1955,p.322) この回路はNASAの研究成果の一つと理解している。静止電力変換回路の基礎(2)、新潟県工業教育紀要第8号に実験結果(稚拙な記事ですが)を載せた。
磁束概念の棄却 上の③図は、学会の説明に使った資料かも知れない。変圧器の電磁誘導現象と同じように、磁石をコイル近傍で動かせば、コイルに電圧が誘導される。永久磁石はエネルギーの貯蔵体と見做せる。コイルにエネルギーを送り、コイルに繋いだ負荷でエネルギーを消費しても、磁石のエネルギー量は減らないようだ。先日不図不思議に思った。磁石(マグネット)はその磁極の近傍空間に、エネルギーを保持している。しかし、その空間のエネルギーはコイルの負荷にエネルギーを供給しても、無くなると言う事はないようだ。物理の基本に、『エネルギー保存則』がある。一通り理屈を付ければ、磁石を移動するにはそこでエネルギーを供給する事になる。その磁石移動のエネルギーの一部が負荷に供給されると解釈すれば良いのだろう。と言う事で今のところ納得する事にしている。自転車のランプはこんな磁石発電機(磁石を回転させて、周りのコイルに回転動力のエネルギーを伝える発電方式)だから、それで辻褄が合うだろうと。供給エネルギーが光のエネルギーに変換されるのである。エネルギーはさまざまなかたちで人の気付かない姿を演出しているのだ。磁束の破棄とその意味。図③で訴えたい事がそれである。その図に「磁束がコイルに鎖交する」が矛盾とある。他の投稿でも説明しているが、 div B = 0 [Wb/㎥] の意味が、磁場の基本的条件を規定している事である。磁束が通過する面積密度の量を磁束密度 ベクトルB [Wb/㎡] と言い、その距離微分を3次元空間全体で計算すると、どんな微小空間であっても、 B の微分値即ち磁束が微小空間当たりの体積から発散するものは無い。即ち磁場空間の何処でも、磁束の発散・発生する源は無い。即ち磁束量を表現する矢印の様な磁束に『頭』も『尾』も無い。と言うのが磁場、磁束密度の基本的に定義された概念なのである。磁束を使うなら、矢印で書き表せませんよと言う事を定義しているのである。div B =0 は磁界に対する基本的規定である。磁束を矢印で書き表す人は、磁気の基本概念(div B =0の意味)を理解していない人と言わなければならない。そこで考えるなら、コイル内に磁束がどの様に入り得るかと言う『問答』になる。頭の無い磁束はコイルを横から切って入り込む道は残されている。それはフレミングの右手の法則として知られている『発電機』の速度起電力を表す事になる。電磁気現象で、磁界とコイルの間の『起電力』に関するものには二つある。『速度起電力』と「変圧器起電力」の二つである。「変圧器起電力」は教科書ではコイルと磁束との間の『相対運動』に伴う電磁現象は無い事になっている。だからコイルを磁束が横から切りながら、コイル内に入る速度起電力の解釈はされていない。速度起電力も変圧器起電力も、本当は区別するべきものではないので磁束がコイルを切って入ると解釈すれば、一応磁束の面子も保たれてよいかも知れない。しかしそれだけでは、問題の解決には成らない。コイルと磁石間には『力』が働く。コイルに磁石を近付けると、負荷にエネルギーを供給するのだから、コイルが逃げようとする力が起きる。その力に抗して、コイルを抑えておく事で、初めて負荷に仕事が出来るのである。このコイルと磁石間の『力と仕事』の関係を合理的に解決する『問答』の『答』を出さなければならない。
電磁力とエネルギー流 磁界の特色は磁石で示される『電磁力』の強さであろう。電動機と言う強力な機械的『動力源』にその特徴が示されていよう。磁石同士の間に働く電磁力は誰もがその強さを実感して居よう。磁極のNとSで、同一磁極間では反発力、異種極間では近い程強い吸引力が生じる。その磁力は、磁束ではどうにも巧く物理的理由の説明が付かない。NとS極を近付けた時、磁束概念では、接近する程強力な電磁力に成る訳の説明が出来ない。磁束が近い程太い線に成ると言う訳でもないから、磁束の状態による力の変化を説明できない。磁力が磁気のクーロン力で、解説されているが、それもニュートンの万有引力と同じ『遠隔作用力』の物理学的力の概念を踏襲したものである。磁気と言う「点磁極」の仮定そのものが磁場概念の div B = 0 を否定した解釈である。点磁極の存在はN、S極が単独に存在するという『モノポール』の説に従うものである。広い磁極面の間の電磁力に、そんなクーロン力で解釈することが許される訳は無い。右上に示した電磁力の解釈は空間エネルギーの回転流に基づく『近接作用力』である。エネルギーとエネルギーの流れる間の分布流の絡み合いで力が生じると解釈するものである。決して力の原因は、離れた点の『何か』の間に生じる『遠隔作用力』では無いと解釈する。これは、原子構造論にも及ぶ概念である。電荷間のクーロン力と言う『遠隔作用力』をも否定する考え方である。この力の意味をコイルと磁石の間に敷衍してみよう。S磁極にコイルを近付けたとする。コイルは磁気エネルギーの流れの影響を受ける事を拒否する。即ち反発力を産む。反発に逆らって近付ければ、如何にもコイルに電流が流れる如くに、エネルギー間の逆流の反発力を産む。しかし、コイル内のエネルギーの消費と共に、コイル周りも磁石のS極のエネルギー流の中に入ると考える。次にそこから、コイルを引き離そうとすれば、今度は今までと逆に、コイル周りに在るエネルギー流の減少を拒むべく、引き離す力に逆らう吸引力を生み出すと解釈する。
その点は後で説明する事にして、変圧器の技術的解釈で、磁束が電流によって発生すると言うことは間違いである。図版②の1次コイルに印加する電圧e1および2次コイルの起電力e2における式がそれぞれファラディの誘導起電力の法則を表現したものである。その式は磁束φと電圧eの関係を表しているが、電流は含まれていない。その起電力の式を書き換えれば、図版③に示す通り、磁束は『電圧時間積分』として決まることを表している。この事はコイルのインダクタンスに対する電流の解釈も改めなければならない。直流電流に対しても、コイルに印加された初期過渡電圧の時間積分値として磁束量が決定されると解釈しなければならない。この『電圧時間積分』と言う解釈は電力技術の分野では当たり前のことであるが、電気理論の教科書では目新しい事であろうと思う。そこで、家庭電器の中に普通に取り入れられている「インバーター」を取り上げて、『電圧時間積分』を説明しておきたい。トランジスターとダイオードで一つのスイッチを構成し、4つのスイッチA,B,CおよびDの切り替えで直流電圧 E ボルトの方形波交流電圧を作る。その負荷の変圧器の磁束波形は一定直流電圧の時間積分として、一定勾配の直線状に増加する磁束波形φとなる。その磁束を発生すると解釈している「励磁電流 io」と言うものはほとんど変化せず、磁束の発生源とは言えないことを明確に示している。家庭用太陽光発電設備なども、このインバーター動作が基本技術として応用されている事を考えて、そのスイッチの動作モードも波形の下に示しておきます。インバータの電圧eが正の区間①は、スイッチAとDが「on」となる。次にスイッチの切り替えで、BとCが「on」する前に、AとDを「off」しなければならない。その時余分なサージエネルギーを逃がす必要がある。それが②区間のダイオードを通して直流電源にエネルギーを回生する。ダイオードの重要な役目である。その後③の区間に移行する。以上が「インバータ」の基本動作である。さて、今まで「磁束φ」そのものが矛盾概念であるという点を説明せずに来た。divB=0と言う磁場規定と磁束による電磁誘導の説明は論理的に整合性が成り立たない。その点について、図版⑤として纏めた。ファラディの電磁誘導則という電気磁気学の
自然科学と言う大きな学問の全ての基礎に成る物理概念は非の撃ちようの無い真の姿で捉えたい。無駄や間違いによる混乱を避ける近道になる。最後の図版⑥として、アンペアの周回積分則の矛盾を取り上げる。電流と磁場の関係は、国際度量衡会議の「電流原器」にも採用されていると思う。しかし、私にはその『フレミングの左手の法則』の測定値が正しいとは信じられない。そのことを図版⑥で示す。コイルに電流計を繋ぎ、その指示値が I アンペアとする。コイルの近傍で3箇所の磁気状態を考えてみよう。(イ)は直線状の導線部。(ロ)はコイルの内部。(ハ)はコイル側面の外部。それら各部の磁場状態がアンペアの法則通りであるかどうかを考えてみる。(イ)の電線周りの磁束は、元々無い訳なので測定出来ない。当然コイル内の磁束も測定できない。しかし、(イ)も(ロ)も、共にその近傍には『エネルギー』の流れが実在する。そのエネルギーを検出する時に、『電流計』もその測定器の一つである。磁石で検知する事もエネルギーの存在を或る一面で捉えているのである。さて、アンペアの周回積分則が『真』であるならば、コイル外側部(ハ)の磁場はどのようであろうか。コイルに流れる電流が磁場を作ると言うなら、(ハ)にも磁場が出来て当然である。しかし、そこには磁気、磁束は出来ないのである。コイル電線の傍で磁気が無いのは何故かと『問答』をしなければならない。結論は、電線の中に『電流』など流れていないのである。しかも電流の基が『電子』となれば、そんな電子が電線の中を流れたからと言って、電線の外に磁気を作りだす訳がありません。電子には磁性保有の特質は定義されていません。負の電荷と質量のみで定義されているのです。電子が電線内を直線状に運動したとしたら、金属の電線の外に、どのような訳で、磁場を作り出すと言うのでしょうか。空間で電子が加速されると、負の電荷に入る電気力線(電界)がどんな磁界を発生するのでしょうか。その解釈に疑問を抱いたのが『静電界は磁界を伴う』の実験的検証を実行した原点である。
アンペアの周回積分則 とは導線に流れる電流 I [A] とすると、その導線の周りの磁界を電線周りで一周積分を取ると、電線の電流値 I[A] に等しいと言う法則である。そんな電線周りの磁界を積分する実験的検証方法が有る訳で無い。しかし、昔の法則はどんなに新しい発見が有っても、古い法則は新しく正されることなく、教育の題材として大事に守られる。上のコイル外側部の場合で、その電線周りの積分を取ったら、どのように周回積分則が成り立つと言えるのだろうか。電流が流れ得ないのに、電線内を『電子』の『負の電荷』が流れて、導線外部に磁場を生じると言う極めて非論理的な解釈が、物理学世界を構築しているのである。『電荷』が導線内部に在って、その金属遮蔽に対して遮蔽の意味を無視した論理で、外部に磁界を創りだすという発想そのものが人間の論理と言う不思議な実情を示していると言わなければならない。科学論理の人間的奇妙な不思議さ、この法則を解剖してみると見えて来る。