日別アーカイブ: 2019年4月29日

mc^2^ から物理学を問う

はじめに
E=mc^2^ [J] この式の意味を『質量-エネルギー等価則』として理解している。余りにも有名な表式である。これ程簡潔にして、自然世界を表現した数式は他にはなかろう。この式の意味を問うことは物理学理論の現在の姿を問うことになる。アインシュタインとその影響が現代物理学に大きく関わっていることは誰でも知っているだろう。それは物理学という科学論が20世紀の大きな社会現象としても捉えなければならない程時代を支配して来た。この表式の意味には自然の根源的「美意識」さえ込められていると思える。それはそれ程に素晴らしい表式だと思う。しかしそれに対して『特殊相対性理論』に関係した論が社会に与えた意味がとても気掛かりに思える。どうも理論が社会の中で勝手に弄ばれて、誤っていたのではないかと。様々な解釈が、様々な表現用語と共に明確な定義なしに論じられ、不可解な世界論を作り上げているように思える。そう思うことは個人の細やかな思いでしかなかろうが、電気技術論からの率直な違和感でもある。自然世界の認識で『電荷』否定が論点の基になる。

物理学理論と電磁現象
19世紀という100年は科学技術の台頭期とでも思える。中でも電気技術とその基礎理論が確立した時代であったと思う。1864年、早々とマックスウエルの電磁場方程式によって電磁現象の統一的理論が出現した。今でもその理論と方程式は偏微分形式で、高度な専門性を持って理解されている。このマックスウエル電磁場方程式が表現する内容がここで議論するアインシュタインの『特殊相対性理論』の基礎となっていると考えたい。『運動している物体の電気力学について』という1905年の論文が所謂『特殊相対性理論』という内容なのである。しかし、その論文の電気力学という内容が具体的に何を指すかが分からない。マックスウエルの電気力学がアインシュタインの理論の構築の基になっている。今になれば、当時の電気現象の解釈はまだ暗中模索の中にあった筈だ。『静電界は磁界を伴う』などという解釈から程遠かった。然しながら電気現象だけでなく、もっと謎の多い世界が科学の対象となり、19世紀の終わりにはレントゲン線や放射線という目に見えない自然世界の謎解きが始った。自然世界の解釈が見えない物理現象の解明に向き、自然科学のある意味混迷期にも在った。そこにアインシュタインの自然感覚と異なる異次元の理論が唱えられ、その新しい解釈、それが物理学理論として時代の学術の牽引役を担ったと思う。今改めて、アインシュタインの論文の翻訳文を読み、更に理論の軌道修正が迫られていると思った。別に改めて論じたい。

物理学理論でのmc^2^の意味
20世紀は物理学理論が世界の科学の話題の中心となって来た。特にアインシュタインの『特殊相対性理論』が科学論の原典のように華やかな世相を成してきた。アインシュタインが唱えた、mc^2^も自然世界解釈論の原点として科学常識となって現在に至っている。先日検索してmc^2^の、その意味を尋ねた。

驚いたことに殆どの解説が右の式の意味についてである。所謂アインシュタインの『特殊相対性理論』の光の伝播特性の解釈の√(1- β^2^) を質量とエネルギーの関係にまで広げた論説である。よく見かける黒板に書き記しているアインシュタインの写真には、分母の式はない。E=mc^2^ の式だけである。論文標題  E=Mc^2^ :the most urgent problem of our time  (E=Mc^2^-現代の重要問題) Science illustrated,  vol. 1, no. 1  (1946), pp. 16~17 として、昭和21年にアインシュタインが「質量とエネルギーの等価性の法則を理解するには、特殊相対性理論以前の・・」との書きだして論じている。この論文を書いた時点では、アインシュタインは少し過去の主張に疑いを持っていたかとも思う。質量もエネルギーに統合されると解釈していたと読み取れる部分が有る。それはバートランドラッセル卿の主張に近いと。

E=mc^2^ [J] の式と異なり、分母の√(1- β^2^)が有る。光速度c[m/s]に対して質量m[kg]の物体の速度がv[m/s]の時のエネルギーを表した式のようだ。特殊相対性理論の § 10.  ゆるやかな加速度を受けた電子の力学 で電子の質量に関する論から、勝手に創り出された式であろう。アインシュタインの論文には無い式だ。

検索記事よ!  何故か? この式にそれ程の特別な意義あると言うのか?何も無い筈だ。

E=mc^2^[J]の式の意味を理解していない解説だ。やはり物理学理論等の教育内容で『エネルギー』の意味をすべて質量の持つものとして考えている処に根源的誤りがある。原子核分裂で、分裂生成原子の運動エネルギーの他に熱(輻射)、光そのもののエネルギーがその中にあることをどう捉えているかが気掛かりである。空間に『エネルギー』が体積を持って実在していることを認識していない。光が半波長の長さの空間にも『エネルギー』として実在している意味を理解していないからだ。振動がエネルギーに成る訳は無いのだから。光の振動数がどのような物理的意味を持つと考えているのか。みんな『エネルギー』の解釈の問題なんだ。

むすび mc^2^ の解釈は、質量m[kg]がすべてエネルギーに変換されれば、その結果には質量は消え、すべてが熱と光(電気も含む)のエネルギーに等価に変換されるという意味である。それを述べようとして検索したら特殊相対論の√(1- β^2^) に戸惑った。それは間違った世界の解釈論と思う。光を振動数で解釈している限りは、自然世界の正しい認識には到達できない。『質量-エネルギー等価則』のE=Mc^2^[J]の意味を認識して欲しい。

(参考記事):光の速度と空間特性 (1911/05/22) 。光とは何か?-光量子像- (1912/01/15)