日別アーカイブ: 2013年9月12日

地球の運動と速度

朝起きて、夜に寝る。電灯も無い、長い歩みの中で生命を繋いで来たこの貴重な星が地球である。日常生活で、人が感じる世界は自分が宇宙の中心に居て、あたかも太陽が地球の周りをまわって、1日・1年を刻んでいるように感じる。地球がどんな運動をしていようが、自分の身の回りに考えなければならない問題はない。学校で、理科の時間に学習する運動方程式も、地球がどんな運動をしているかは決して問題にしない。陸上競技の100m競争で、走る方向が東西南北どちらでも無関係である。それは地球の表面が全ての運動の速度の基準にして問題が無いからである。それを「慣性座標系」と言うと考えて良いだろう。しかし、自然科学では、宇宙はどのように生まれたか等と、トンデモナイ事に疑問を抱く。そんな話になれば、地球の運動を考えに入れなければ、宇宙論には成るまい。今は、「地動説」で太陽を中心に地球の自分が廻っていると理解している。地球の運動を何故取り上げたかと言うと、先にエネルギーと空間と質量の記事を書いた。質量とエネルギーは等価であると述べた。運動エネルギーは質量になると解釈した。それでは、物理学で取り上げている、運動方程式の本当の意味をどのように解釈すべきかと疑問が湧いて来た。最先端の物理学研究論では、ブラックマターとか暗黒物質とかの話題が論じられている。宇宙論を展開する科学者集団が有る。自分も少しは理解したいのだが、基礎理論が見えなくて、取り付く方法が分からない。自分なりの理解で基礎を抑えようとすると、余りにも単純な事から考えなければならなくなる。それが自分が立っている地球の運動の意味を理解しようと思ったのが切っ掛けである。物理学で、運動エネルギーを解釈するのに、地球の運動も宇宙論では当然取り組まなければならないと思う。ブラックマターと言う意味はどのような基礎概念の上に提唱されたものであるかを理解したい。市民が理解できるように、その意味を専門家は説明する責任が有ると思う。地球回転運動

地球の運動を簡単に図に描けば、右のようになろう。Sを太陽、Eを地球とする。回転軸の方向を、単位ベクトルk_s  および k_e で表す。実際の軸ベクトルの方向は同じではないが、簡単のためにそのスカラー積が1(方向が同じと言う意味)であるとした。角速度ω_s は太陽を中心とした地球の回転運動の速さを表す。その角速度を、太陽Sに対して地球が張る半径R_s の掃引面(円平面)に垂直な軸ベクトルとする。一応右螺旋の向きで、方向を決める。

さて、円平面上に直交座標 x(t)i+y(t)j=r(t) で、地球の位置ベクトル r(t)を仮想する。ただし、i ,j はそれぞれ単位ベクトルとする。この半径座標ベクトルr(t) は地球の位置座標を表すと考えられる。右図の半径R_s が時刻t の関数であるから、ある時刻tの位置とすれば、r(t)=x(t)i+y(t)j =R_s {i x(t)+j y(t)}/ {x(t)^2+y(t)^2} で地球の位置を認識出来る。斜文字をベクトルとする。ただし、時間の基準は r(0)=x(0) i に取り、またR_s=√{x(t)^2+y(t)^2} である。空間ベクトルについては、空間ベクトル解析と単位ベクトルに参考記事。

そこで、地球の運動を速度から単純な計算で算定してみた。公転軌道の半径さえ分からない。だから、適当に太陽から地球に陽の光が到達する時間が8分と言う事だけで算定した。

地球公転・自転速度その結果が右のようである。厳密なベクトル式で表現すれば、公転と自転のそれぞれの速度のベクトル和で表される。ただ、地球の運動を公転と自転で比較すると、太陽基準空間に於いて、我々の運動する空間速度Vは殆どが公転速度で決まることが分かる。地球の自転速度は0.0162の比率分しかない事になる。1.6パーセントでしかない。自分の空間速度は公転でほぼ決まっている事になる。概略であるが、毎秒地球が30㎞弱の速度で運行している。昔、マイケルソンとモーリーと言う二人の物理学者が地球の運動が光の速度にどのような影響を及ぼすかを実験で調べた。結果は巧く確認できなかった。その事が、現代物理学の理論に大きな影響を残した。アインシュタインはじめ、ローレンツ等の物理学者が、その実験事実を捉えて、実験が全ての意味で正確で誤りが無いものとの認識の下で、理論をつくりあげたと思う。ローレンツ収縮や特殊相対性理論等である。光の速度と光の寸法(波長)および実験装置の寸法誤差(何オングストロームの寸法誤差)等が如何に正確に設定できるかをどんな方法で確認したのかという点でも信じられない理論である。更に、光の速度と地球上の実験装置の空間速度の意味をどのように解釈したかも、難しい論議になる。ほぼ30[km/s]の地球速度で解釈しているようだが、それは公転速度で、実験装置の地球上での回転とはあまり関係ないことになる。そんな事からも光に関する相対速度の理論は信頼できない。これは余談である。さて我々が運動方程式を立てる場合に、運動は慣性座標系と言う地球上の目の前の空間だけを認識すれば良いことになっている。しかし運動方程式が物理現象の厳密な原理から得られるとすれば、地球の運動を考慮しないで済ませられる訳は『何故か』について答えなければならない筈だ。それは、ブラックマターの問題にも通じる話となろう。運動エネルギーが質量と等価だと言う事から、この地球の保有するエネルギーと質量をどのように認識し、算定するかと手も足も出ない事に首を突っ込んでみたが、自然の重層構造に今のところ脱帽する以外ない。しかし、理論が本当に正しいかを常に疑問を持ちながら、理解する必要が有ろうと言う点で、取り上げておくべきと思った。